これまで、いろいろな中小企業の社長とお話しさせていただく中で、
経営理念を語れる方は少数派でした。
そもそも、経営理念とは何でしょうか?
一般的には
「会社や組織は何のために存在するのか、
経営をどういう目的で、どのような形で行うか」や
「何のために企業活動をするか」
といったように表現されます。
私なりに表現すると経営理念とは「企業の生きる意味」です。
経営理念は軽視されがち
企業活動を行うにおいて、
なぜ企業活動を行うか、の「経営理念」も
どう企業活動を行うか、という「戦術」面を優先して検討されることがほとんどです。
「どんなきれいごとを並べても、儲けられなければ意味がないんだから、
まずはどう稼ぐかが重要だ」という、考えで経営理念は後回しにされることが多いのです。
なぜ経営理念は重要なのか
企業を経営していると調子のよい時だけでなく辛い時は必ずやってきます。
むしろ辛い時の方が多く、調子のよい時なんて一瞬、なんてこともあるかと思います。
そんな時に企業活動の「なぜ」がなければどうなるでしょうか?
人間は安きに流れるものです。隣の芝生は青く見えるものです。
理念のない会社は得てして、辛い時に方向性を失ってしまいます。
気づけば、創業時当初の想いとは全く違う経営をしているなんてことにも…
また、逆に調子のいい時にも、方向性を見失うこともあります。
例えば、創業当初はお客様も従業員も幸せな会社を作りたいという
想いのあった企業が、成長し、仕事の引き合いも増えてくると、
内部の体制づくりが整わないままに、仕事を回すために従業員に酷な働き方を強いる。
なんてこともよくあることです。
そこに経営理念が明文化され、社内でしっかりと共有されていれば
企業に一本の芯を通すことができます。
経営理念を明文化する時のポイント
①公益性、社会的意義があるか
例えば、これから起業する!といった方の起業理由が
「もっと自由に働きたい」、「お金をもっと稼ぎたい」
だったとして、それをそのまま経営理念にするとどうなるでしょうか。
私としては、このような理念であればないものと同じだと思っております。
企業を経営するということはとても大変なことです。
半端な覚悟で飛び込んだら下手なブラック企業よりも
自由がなく、お金も稼げない、なんて事態になりかねません。
※しっかりとしかるべき努力をされていればそんなことにはなりません。
また、本来的に仕事とは
どんな仕事であれ誰かを助けるものであります。
新一万円札の顔になる渋沢栄一氏も
「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない」
という言葉を残しています。
また、二宮尊徳翁は
「道徳なき経済は罪悪であり、経済無き道徳は寝言である」
と言ったそうです。
ぜひ、自社の企業活動にはどのような社会的意義があるかを考えてみましょう。
②かっこつけすぎない
経営理念って言ったって、どう明文化すればいいのか、、、
と悩んでネット検索すると、大企業のそれはそれはたいそうな経営理念が目に入ってきます。
あまり具体的な例を挙げると差しさわりがあるので例示はしませんが、
ぱっと見てかっこいい経営理念って、冷静に考えると何を言いたいんだろう?
と思うようなものも結構あります。
言いたいことは分かっても、本当にその経営理念にのっとって経営してる?
というようなことも。
経営理念は社長にとっても従業員にとっても理解しやすく、
その理念に基づいて行動できるものでなければ意味がありません。
あまりかっこつけた経営理念は形骸化してしまいます。
経営に対する想いを素直に書き出したほうが、
多少見栄えは悪くても意味のあるものになります。
じゃあ経営理念ってどう作ればいいの?ということはまたいずれ、別の記事にて。