当たり前の話ですが、
入ってくる金額よりも出る金額の方が少なければ利益としてお金が残ります。
逆に出ていく金額の方が大きい場合は損失としてお金が減ります。
経営においては支出を収入以下に抑える、もしくは支出以上に収入を得ることで利益をだします。
良き経営をするためには、
〇〇比率や〇〇回転率といった経営分析に用いる指標を勉強するよりもまず
この当たり前の大原則に基づいて、「お金の使い方」を意識することが重要です。
お金の使い方 3つの分類
お金の使い方はプライベートでも事業でも以下の3つに分類されます。
・消費
経営においては事業を運営するために必要な支出のこと
(地代家賃、光熱費、消耗品費 等)
・浪費
経営において必ずしも必要ではない支出
(過度な接待交際費、事業に直接関係しない設備購入 等)
・投資
すぐには効果を得られないが、将来的には支出以上の効果を得られるであろうもの
(設備投資、セミナー参加費、人材育成)
なんのための支出なのかを意識して
消費・浪費・投資、この3つのお金の使い方を意識するだけでも経営におけるムダは格段と減らすことができます。
しかし、このことについてしっかりと意識できていない経営者は意外にもたくさんおられます。
特に数十万から数百万の利益がたまに出る会社の経営者に多い傾向があるように思います。
それは「税金対策」に目がくらんでしまい、そのお金の使い方が
本当に経営に必要なものかどうか慎重に検討もされないままにお金を使ってしまうためです。
税金を払うくらいなら、何か買って利益を減らして節税しようという考えです。
意識から抜けがちな「投資」
消費と浪費については比較的、支出の際に必要か否かを気を付けられているものだと思います。
では投資はどうでしょうか?
投資とはすぐには効果が得られないが、将来的に支出以上の効果を”期待”できるものです。
そう、逆に言うと期待はできるものの支出以下の効果、もしくは無駄な出費に終わる可能性もあるということです。
例えば「事業計画策定セミナー」というセミナーがあったとして、それに参加して事業計画の策定の仕方を学ぶことによって、今後はより計画的な事業運営ができるようになるかもしれません。
逆に、学んだだけで実行に移すことができずに払ったセミナー代だけ無駄になるかもしれません。
どちらの可能性もあるのですが、事業成長のためには投資が必ず必要になってきます。
現状維持だけの経営では「栄枯盛衰」、どんな企業でも縮小していく未来が待っています。
しかし、それでも多くの経営者は投資に対して消極的であることが多いです。
人間は将来の不確実な利益よりも不確実な損失に高い可能性を感じてしまいます。
損失を嫌う「プロスペクト理論」というものです。
消費は必要な支出、浪費であっても支出することによって満足感を得ることはできます。
それに対して、投資はすぐに効果を実感できず、投資を回収しきれない可能性もあることが
投資に積極的になれない一つの要因ではないでしょうか。
「投資」の目的忘れにご注意を
前項で「投資はあまり積極的に行われないことが多い」と記載しましたが、
投資されている社長は非常に積極的に投資されています。
それはもうバンバン投資されています。
そんな社長を見て一抹の不安を感じることもあります。
これって本当に「投資」なのかな?と
例えば積極的なセミナー参加です。
セミナーには詐欺まがいの怪しいものもありますが、ここではまっとうなセミナーとします。
内容自体はまっとうなセミナーですが、頻繁に多様なセミナーに足しげく通い、多大な時間と金銭的コストをかけられているケースです。
そんなとき私が感じるのはこの社長はセミナーに行く目的を見失っていないかな?ということです。
セミナー参加の目的は当然、得たい知識があり、その知識を経営に生かすことです。
それが、セミナーに参加すること自体が目的になってしまっていないかと感じることが多々あります。
あまり好きな表現ではありませんがいわゆる「意識高い系」というやつです。
貴重なお金をかけるからには明確な目的を。
目的を忘れてセミナー参加だけで満足していては、
その支出は「投資」ではなく「浪費」となります。
浪費は悪か?
「浪費」という言葉にはひどくネガティブなイメージが付きがちです。
経営に役立たない「無駄遣い」な支出。と表現されるため、極力ゼロにするべきなのかもしれませんが、わたしは必ずしもそうとは思いません。
例えば、私の知っている方にとても車好きな社長がいます。
彼は「好きな車に乗るために社長をやっている」と力説して毎年、人を2~3人雇えるほどの高級車を買い替えていい車に乗られていました。
経営を会計数値でしか見ることができなかった当時の私にとっては
「なんて無駄遣いを」と思っていましたが、それによって会社を経営するモチベーションが得られるならそれも意義はあるのかな、と思うようになりました。
一見、浪費(経営に直接必要ではない支出)と思えるようなことも、社長が経営に向き合うモチベーションを得るための支出になるなら消費にもなりえます。
ただし、人間の欲求は無限です。
欲を満たしたらさらに次の何かが欲しくなってしまうものです。
極力、社長が経営に向かうモチベーションは働いて得た給与から支出して、
事業での浪費は極力抑えたいものです。