今から約10年前の2015年、米オックスフォード大学と野村證券が日本における601種の職業がAIやロボットに代替される確率を試算したところ、
「今後10年~20年で、日本の労働人口の49%が就いている仕事がAIに代替が可能」
という結果がでたと発表しました。
当時、とても話題になったのでまだ記憶に新しい方もおられるかもしれません。
この発表の中で税理士の仕事の多くも代替可能と書かれていたので、私にとっても非常に印象的です。
この話題への反応で多かったのが「将来的にはAIに仕事を奪われてしまうかもしれない」という言葉です。
確かに過去を振り返ると技術革新の波にのまれて必要とされなくなった仕事は多数あります。
音楽分野では元々、カセットテープやCDなどを媒介して音楽が届けられていたものが、MP3プレーヤーの普及によりダウンロードで供給されるようになりました。この過程でも多くの仕事がなくなっています。
本屋さんや家電量販店はAmazonの台頭で多くのお客様が離れることになりました。
技術の発展で必要とされる仕事も大きく異なってきます。
問題はこれをピンチととらえるか、チャンスととらえるか、です。
ピンチと捉える人は日ごろから受け身の姿勢で変化を厭い「仕事を奪われる」と言います。
チャンスと捉える人は変化を恐れず「どうやって新しい技術を利用しようか」と考えます。
技術の進歩はそもそも、人間にとって都合の悪いものではなく、良いもののはずです。
それであれば「仕事を奪われる」なんて考える必要はないのではないでしょうか。
それでもそう考えてしまうのであれば、時代に合わせて変わっていくことができないと自分で言っているようなものです。
変化に対応できないものは淘汰されていきます。
そういった意味で「仕事を奪われる」と考えている人はまずいかもしれないのです。
自社にイノベーションの機能は備わっているか?
経営学の父と言われたドラッカーの名著『マネジメント』に以下のようなことが書かれています。
企業の目的は顧客の創造であり、そのための基本的な二つの機能が備わっている。それは「マーケティング」と「イノベーション」である
イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常により良くならなければならない。
ここで言うイノベーションは、なにも革新的な、技術的なものである必要はありません。
つまるところ「企業としてより良くなっていく」ということです。
ドラッカーは、企業には当然備わっているものとして語られています。
逆に言うとこの機能が備わっていなければ企業として存続しえないとも言えます。
「企業としてより良くなっていく」仕組みは整っているでしょうか。
より良くなっていくためには
現状把握→課題の抽出→課題解決策の検討→解決策の実行
の流れが重要です。
これはなかなか社長一人でできることではありません。
三人寄れば文殊の知恵という言葉がある通り、
他の人と話すことで思いもよらなかったアイディアが下りてくるものです。
幹部や外部コンサルと毎月一度、経営会議を開くという事をぜひご検討ください。