数字はつねに未来のために

経営計画

弊社は会計事務所として中小企業の税務会計業務をお手伝いさせていただいています。

場合によっては数カ月に一度の会計処理もありますが、基本的には月次で数字を出せるようにご支援させていただいています。

さて、この経理業務ですが、多くの中小企業では「義務だから、必要だからやっている」というのが本音ではないでしょうか。

つまり、経理業務(ここでは請求書発行等ではなく帳簿への記帳、決算書の作成等をいいます)をしていないと

税務署に申告ができない→税務調査でペナルティを食らってしまう

銀行に決算書が出せない→融資を受けられない

だから、手間ではあるけどしょうがなく、経理業務に社内のリソースを割く、もしくは会計事務所にお任せする

という感覚です。

逆にしょうがなくではなく、積極的に経理業務に取り組む企業は

「義務だから、必要だから」だけではなく、経理業務によって出てきた自社の数字をしっかり把握して会社のかじ取りを行い、未来の数字を良いものに変えていく。そうやって数字を活用しています。

経理業務で出てくる数字は基本的に[過去のもの]です。

これを未来のために生かすか殺すかは社長の手腕にかかっています。

未来のための数字の生かし方

数字を未来のために生かすためには「過去の数字」だけではなく「未来の数字」も必用不可欠です。

つまり、数年後の未来に「売上を現在の〇○○%に増収する」といった目標(未来の数字)を掲げることではじめて「過去の数字」が進捗確認に役立つことになります。

例えれば旅の目的地が「未来の数字」だとしたら「過去の数字」は少し前まで自分がいた場所です。

目的地もなく、なんとなく歩くのはただの散歩です。

まぐれでもない限り目的地にはたどり着けません。

これが仮に「未来の数字」がなかったとしたらどうでしょうか。

社長であれば誰だって経営状況をよくしたいと思うものですが、

ただなんとなく「今よりもよくなってほしい」と思っていて果たして本当によくなるでしょうか。

良くなる場合もありますが、それは外部環境の要因によるところが大きいです。

つまり、景気がよくなったり、その業界の需要が一時的に増えたりしたことに良い影響を受けて自社の経営もよくなるということです。

目標が漠然としていてはその目標達成のために必要な「行動量」が減っていきます。

そうなると経営はよくならず、外部環境の変化に流されるだけになってしまいます。

そうならないためにも経理業務によって出てきた自社の経営数値の有効活用です。

例えば、損益計算書を分析し、現状の資金繰りを考えると利益をさらに100万円出せなければ、融資の返済原資も確保できないということが分かったとします。

ではさらに100万円多く利益を出すためにはどうすべきか。

経費は可能な限り削っていたとします。

となればやはり売上を今よりも上げなければいけません。

では、どうやって売上を上げるか。

売上は基本的に[単価×販売量]に分解することができます。

単価を上げる余地はあるか、販売量を上げるためにはどうするか。

販売量を上げるためにはどういった行動が大切で、行動量はどれだけ必要か。

そこまで考えて行動してようやく、数字を未来のために生かしているといえます。

ここまで考えながら行動している中小企業は少数派です。

だって面倒くさいから。

考えることって面倒くさいんです。

考えたとしてそれが正しいとも限らない。やってみないと分からないじゃないか、と。

確かに考えすぎて行動量が減るのはいけません。

ただ、考えずに行動しだしたら、迷子になって目的地どころか

まったく望んでいなかったところをさまようことになってしまいかねません。

先ほど、「未来の数字」を旅の目的地、「過去の数字」を先ほどまでいた場所と例えました。

旅に必要なものは実はもう一つあります。

そう、現在地から目的地までの道のりを示した地図です。

同じように例えると経営計画です。

やっぱり経理業務で出てきた数字は積極活用すべき

事業者は個人、法人問わず、年に一度は会計処理を行って税務署にその年の決算報告を行う義務があります。

これを「しょうがなくやっている」で終わらせるのはやはりもったいないです。

考えることにエネルギーはいります。

計画なんて立ててもなかなかうまくいきません。

すぐには成果が見えてきません。

しかし、それでもずっと考えながら経営してき社長と、

ずっと深くは考えず外部環境に任せて経営してきた社長、

どちらの社長がよい経営をするかは火を見るよりも明らかです。

経営計画は頭の中だけではおぼろげではっきりせず、数日でどこかに行ってしまいます。

ぜひ、明文化し会社の行き先を社長として示しましょう。